「舞姫通信」(重松清)、書評
舞姫通信は、小説中に出てくるある女子高に不定期に配付される。
舞姫とは、その女子高で十数年前に死んだある女子高生の象徴的な姿。
主人公であるその女子高の教師は、双子の兄を同じ頃自殺で亡くしていた。
人は何故死のうとするのか。
彼の兄には、その理由が全くなかった。舞姫にも、それは同様だった。
人は、理由がなくとも、命を絶つことができる。
例えば、それを、自分が生きていたことの目的にしてもいいのではないか。
様々な形で、死を考え、人が死にいたる心理と人が生きる意味を探っていく。
人は何故死のうとするのか。文学が、これまでも、そして、これからも取り組むであろう課題に真正面から取り組んだ意欲作である。
なかなか、考えるところの多い作品で、読み込んでしまった作品である。
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舞姫通信
(文庫)
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内容(「BOOK」データベースより) ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。人は、誰でも、気づかないうちに人生のラストシーンを始めている。17歳で死んだ「自殺志願」のタレント城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城真吾は教えてくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでも―。でも、僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、ずっとずっと、遠い日でありますように。教師と、生徒と、生と死の物語。
内容(「MARC」データベースより) 自殺はなぜいけないんですか。恋人と一緒に死に損ねた少年の一言が社会を動かす。街に溢れ、徘徊する自殺志願者の群れ。自らも兄を自殺で失った新任教師が、自殺した生徒を「舞姫」と崇める女子校で過ごした熱病のような一夏。
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