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「毎月新聞」(佐藤雅彦)、書評この発想にやられた。と手に取った瞬間思った本である。 これは毎日新聞に4年間にわたって毎月書かれたコラムなのだが、新聞の中でコラムを新聞として発表するという型を作ってしまったところで既にアイディア勝ちだと思う。 内容もそれぞれかなり面白く、今まで思いもよらなかった視点が得られて大収穫であった。 プチ哲学の書評にも書いたのだが、氏は文章のうまさではなく、視点の面白さで作品を作るタイプのクリエイターだと思う。 それは、本書の中に出てくる氏の以下の記述にも現れている気がした。 「視点の切り替え」の重要性はみんな理解していると思うが、僕はそのときに生まれる切り替えスイッチのこのカチッという気持ちよさこそ、人間が生きている証のような感じがする。 例えば、 人間には「ちょうどよい制約」があることを気づかせてくれる「楽しい制約」 文字と絵と図形の持つ情報の力関係を示す「情報の力関係」 音だけでなく文字にもうるささを感じることがあることを気づかせてくれる「文字が出す騒音」 など、あ、そういう見方もあるのね。と思わずうなってしまうようなコラムがたくさんある。ぜひ一読されるとよいと思う。 なお、本書のことは、「罪と罠へのアドレス」などを執筆されている小説家鈴木輝一郎氏のホームページで知りました。面白かったです。
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