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「モモ」(ミヒャエル エンデ)、書評ミヒャエルエンデのモモは、タイトル自体非常に有名な物語であり、前々から読みたいと思っていた童話のひとつである。 「モモ」は、時間を奪う灰色の男から、モモという少女が奪われた時間を取り戻してくれるまでの物語で、童話という形をとりながら、大人が読んでも考えさせられる深いテーマがこめられている。 本書のテーマは、ずばり、「時間」である。 効率よく生きようとすると、夢を見る時間や何かに夢中になる時間、どきどきする時間が失われてしまう。 灰色の男たちとモモとの対決という構図を見せながら、ともすれば仕事や能率などにとらわれてしまう私たちへの警告になっている。 ここに出てくる灰色の男たちは、私たちの心の奥に常に潜んでいるのだ。 大切なものは、一見無駄な時間の中にとても多くあふれていること。 効率だけを追い求めると生き生きとした時間が如何に死んでしまうか。 本書の中で訴えられているメッセージは、月並みではあるが非常に深い。 「世界にひとつだけの花」というスマップの歌があるが、モモの中でも時間はひとつとして同じもののない花として具現化している。 この、時間を花にたとえるという手法は、古今東西を問わず、よく使われる手法なのだろうか。
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