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「マザーテレサ愛の軌跡」(ナヴィンチャウラ)、書評マザーテレサは、1950年に神の愛の宣教者会を創設し、世界で最も貧しい人々のためにその生涯をささげた聖女である。 1979年に受賞したノーベル平和賞を始めとして1997年に亡くなるまで数え切れないほどの賞を受賞されている。 (もっとも、彼女にとってそれはまったく関心のないことだったようだけれど・・・。) マザーテレサについては、これまでにもある程度のことは知っていたけれど、本格的に氏について書かれた本を読んだのは、本書が初めてか、読んでいてもずいぶん前のことだと思う。 親に棄てられた子供を、ただ抱きしめてあげること。 病気で家族からも虐げられている人の手を、そばにいて握り締めてあげること 子供から棄てられた死に掛けた母親のために祈り、息子を許すように説得すること。 世の中で悲しんでいる人のために祈ることにどれほどの力があるのかを、彼女は身をもって示す。 誰にも必要とされていない。貧困に苦しんでいる。或いは、孤独を抱えている人間にこそ、深く献身的な愛が必要なのだということ。 そして、それらの人々のために、その身をささげるということがどういうことなのかということ。 そのことを身をもって示した生涯は、人に感動を与えずにはいられない。 彼女は、穏やかで優しく、慈愛の精神に満ちたシスターである。 しかし、「死を待つ人の家」「孤児の家」といった施設を創立するなど、非常に行動的な女性でもある。 さまざまな逆境の中で、それでもなお、彼女がその生き方を貫き通せた理由。 それは、たとえ、どんな逆境の中でも、神の意志に従っているという確かな信念が彼女の中に力強く存在していたからに違いない。 許し、そして、与えること。それこそ、私たちが生きていくということの本質である。 凡人にはもちろん無理なことかもしれないけれど、今からでもそれを目指すことならできるかもしれない。 マザーテレサに関する本は他にもたくさん出ているようなので、ぜひ詳しく読んでみたいと思っている。 彼女の100分の1でもいいから、僕もそんな精神を持ちたい。と思った。
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