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「にんげんだもの」(相田みつを)、書評にんげんだもの。相田みつを氏のデビュー作にして、氏の本の中でももっとも有名な本のひとつである。 1984年に文化出版局から出版され、ベストセラーになった。今でもきっと売れ続けているはずだ。 にんげんだもの。このタイトルが本書だけでなく、氏のその後の作品の本質をずばりあらわしている。 相田みつを氏は字が特にうまいわけでもない。真新しいことをいっているわけでもない。 氏自身も言っているが、氏は書家でもなければ、詩人でもないのだ。 それなのに、その素朴な言葉、その書には味があり、そして、心に響く。 それは、氏の言葉が、弱くて、ずるい人間に向けたやさしく温かい言葉だからなのだ。 人間だから、弱い。人間だから、ずるい。 確かにずるく、弱く、卑怯だけど、一生懸命そこから抜け出そうとしている。 そんな人間に向けた愛の詩。それが多分、相田みつを氏の著書にこめられたメッセージなのだ。
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