「リトル バイ リトル」(島本理生)、書評
本書は、作者である島本理生氏が、高校生のときに執筆した作品であり、第128回芥川賞候補になったということで話題になった。
実際には、「しょっぱいドライブ」が芥川賞を取ったわけだが、掲示板にも紹介していただいたので折角なので読んでみようと思った作品である。
あとがきによると、氏は「明るい小説を書きたかった。」或いは、「淡々と流れていく日々を照らす光を書きたかった」と書いている。
しかし、正直なところ、そういう印象は特に感じなかった。
例えば、母親の2度目の離婚。それに伴う経済的な理由による大学の進学の断念。父親の違う妹。
複雑な家庭事情を抱えながら、それに捕われていないという意味で明るいのかもしれない。
そして、例えば、待っていた父親への意識的な決別の場面は、その場面を切り取れば希望を含んでいる。
しかし、それはそれとして、全体の雰囲気としては、どちらかというと冷めた小説である印象を受けた。
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リトル
バイ リトル
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Amazon.co.jp 著者の島本理生は、15歳のときに短編小説「ヨル」で「鳩よ!」掌編小説コンクールの年間MVPを受賞し、17歳のときに書いた「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞した才媛。
少女の目から見た日常をみずみずしいタッチでつづった本書も、高校在学中に執筆された作品で、第128回芥川賞候補となった。文学と真摯(しんし)に向きあおうとする著者の姿勢が素直に表現された、さわやかな青春小説である。
高校を卒業したばかりの橘ふみは、母親と、父親違いの小学2年生になる妹との3人暮らし。
入試直前に、2番目の夫と母親が離婚したために進学をあきらめ、バイトをしながら家計を助けている。ある日、ふみは母親の勤める整骨院で、キックボクシングの選手だという青年・周と出会う。子どもっぽい母親、書道教室の老夫婦、気の強い周のお姉さん、行方のわからない実父。ふみは、周との恋を育てながら、「少しずつ(little
by little)」彼らとの距離を縮めていく。
「淡々と流れていく日々を照らす光を書きたかった」と「あとがき」で語る著者は、大げさな表現や派手なストーリー展開を用いることなく、登場人物たちの心の揺れ動きを、ていねいに言葉を選びながら積み重ねていく。そうした落ちついた筆致の中に、ラブホテルで周の首を締めようとする場面など、独特の感性がきらりと光っている点が印象的である。本書には確かに、10代の心にしか捉えることのできない世界の情景が、まばゆいばかりの輝きを放って存在している。(中島正敏)
内容(「MARC」データベースより) 少しずつ、少しずつ、歩いていこう。楽しいことも悲しいことも、みんな大切な家族の時間とひらかれてゆく青春の息吹。高校生作家の芥川賞候補作。
「リトルバイリトル」」に関する掲示板の書評については、左記をご覧下さい。
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