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「そんなバカな!―遺伝子と神について」(竹内久美子)、書評竹内久美子氏は、本書「そんなバカな!―遺伝子と神について」で講談社出版文化賞を受けた京都大学理学部出身のライターである。 本書は、遺伝学者リチャードドーキンスのベストセラーである「利己的な遺伝子」や筆者の専門である動物行動学の知識をベースに、それをより身近な話題。例えば、浮気や離婚などといった話題に適用している。 動物行動学や遺伝の話題を、浮気や嫁と姑などといった身近な生活に絡んだ話題に対応付けているため、理科系の話があまり得意でない人でも面白く読むことができるエンターテイメント性を強い本となっている。 実際、筆者の狙いどおり、エンターテイメントとしてはかなり面白い部類に入ると思う。私自身、読んだ当時、かなり楽しんだ覚えがある。 が、最近、氏の他の書籍を含め、何冊か連続して読んでみたところ、少し印象が違っていた。 連続して読むと、そこまで全てを動物行動学や遺伝に結びつけなくてもいいような気がするのだ。 無理やりでも遺伝や動物行動学に結びつけるからこそ氏の本は面白いとも言えるのだが...。 要するに下世話な話題を、まじめな学問を根拠に、いい意味でアホらしく議論している愛すべき本が多いと言える。 その意味で、一度目の読書は、恐らく、かなり楽しめるであろう。
ところで、竹内久美子氏には、前述のように本書以外にも多くの著作があるのだが、それらの多くは浮気やら離婚やら嫁姑問題などといった、いわゆる男女に関わる話題が多い。もちろん、それは、氏自身の興味と共にそのような話題がもっとも売れる話題だからに違いない。 そして、その中で展開される浮気や離婚に対する論理には、多分、女性ライターでなければ、はばかられるような論理展開がかなり多いような気がしてならない。確信は持てないが、氏と同じような論理展開を男性がしたら、非難がかなり出るのではないだろうか...。
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