|
|
「自分をどう愛するか」(遠藤周作)、書評昔から遠藤周作氏の作品はとても好きで、昔からよく読んでいる作家の一人である。 遠藤周作氏は、沈黙やイエスの生涯などで知られる日本を代表するキリスト教文学作家である。 いわゆる純文学物であるこれらの作品を作る一方で、氏は狐狸庵先生として軽妙なエッセイを書いている。 氏は自分をひとつの枠にくくらない。ということをすごく知っていた作家なのではないだろうか。 生活と人生の違い、弱者のための文学というテーマ。 狐狸庵物を呼んでいると、重く、真剣なテーマだけを追っている作家だと思われることを、氏はひどく嫌っているようだ。 本書は、そのような氏の重いがすごく出ている本のひとつで、 一番にならないで、二番を風除けに三番になるのがいちばんいい。とか。 素人劇団樹座を運営している理由とか。 自分をひとつの枠にくくらないこと。の大切さとか。 そのような氏の考え方を自身の体験などを交えながら記したエッセイ集である。 遠藤周作氏は、力を抜いた生き方。や、ひとつの枠組みにとらわれない生き方。などの大切さに、すごく気づいていた作家なのではないだろうか。
|
Copyright(C) 2002 - Mitsuharu Matsumoto All rights reserved.