|
|
「世界をだました男」(フランク アバネイル)、書評ちょっと前に、Catch me if you can(キャッチミーイフユーキャン)という映画があった。 レオナルドディカプリオ扮する一流の詐欺師とトムハンクスが演じるFBIの凄腕捜査官との織り成す物語だ。(僕はまだ見ていないのだが) 本書は、その映画の原作となった本である。 映画になったときは知らなかったのだけれど、これはある実話を基にした物語である。 本書の著書であるフランクアバネイル氏は、16歳から21歳まで詐欺師として活躍し、小切手詐欺によって250万ドルを稼ぎ出した。(活躍という言葉が当てはまるかは分からないけれど・・・) 何もないところから自分の才覚だけで人に信頼される能力。 何人もの人に信用される能力を10代後半で身につけるというのは、尋常な才能ではない。 本書では、フランクアバネイル本人が、パイロット、医師、弁護士、など数々の立場を装って働いてきた自身の詐欺の遍歴を書き綴っている。 はっきりいって抜群におもしろい。 彼は猛烈に頭がよくて、詐欺師という職業を選ばなくても成功していたに違いないと思われる。 実際、成り行き上、弁護士の資格が必要になったとき本当に試験に合格してしまっているし、現在では、その才能を生かし、文書の偽造と保全に関するコンサルタントやFBIへの協力などをしている。 例えば、本書の中に詐欺師として成功するための以下の三つの条件が挙げられている。 1.人間的魅力 2.観察力 3.調査能力 人間的な魅力を手に入れるためのそれらしい服装。 人の反応をよく見、些細な出来事に気が付く注意力。 狙ったものに対する厳格な調査に基づく、きちんとした裏づけ。 その能力は、詐欺師に限らず、人に信用されるときに普遍的に通用する内容だといえるだろう。 ちなみに、アバネイル氏が働いた詐欺は、一つの例外を除いて、全て銀行やホテルなどの法人格を狙ったものだそうである。
|
Copyright(C) 2002 - Mitsuharu Matsumoto All rights reserved.