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「そして二人だけになった」(森博嗣)、書評「そして二人だけだった」というタイトルから予想される通り、本書で起こる殺人は連続殺人だ。 天才科学者と助手の他、全部で6人が密室に閉じこめられ、そこで次々に人が殺されていく。 タイトルは、アガサクリスティの「そして誰もいなくなった」を明らかに意識しているのだろう。 (ただし、森さんは英語のタイトルから考えるそうなので、このタイトルは最初は意識していなかったのかもしれない。) 昔、「そして誰もいなくなった」も読んだはずなのだが内容を忘れてしまったので、内容がどの程度、それを意識しているのかは分からない。 (きっと、僕よりずっと詳しい人がたくさんいることだろう。) 人工的な密室を作って、そこで殺人が起こる。 科学者と助手が主人公で、その二人の一人称の繰り返しで進んでいく。 これは、デビュー作である「すべてがFである」などにも共通する部分がある設定である。 連続殺人は、犯人の可能性がどんどん狭くなっていくので、普通のミステリに比べると、多少は先を読むことができる。 一応、最終的な結末の可能性は考えていたのだけれど、結末が、そこまで極端だとは思わなかった。 一般的にいうミステリとはちょっと違って、厳密な意味で事件は解決していない気もする。 (トリックに触れられない分、ミステリの書評には普通の書評にはない難しさがある・・・。)
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