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「そして、こうなった」(佐藤愛子)、書評なんでこうなるの。だからこうなるの。に続く佐藤愛子さんの我が老後シリーズ第三弾エッセイ。 だと思っていたのだけれど、アマゾンの紹介を見ると実は第四弾エッセイらしい。 探してみたら、我が老後。というストレートなタイトルのエッセイが既にあったので、それが第三弾なのかもしれない。 僕としては、タイトルのリズム的に三部作が美しいように思えるのだけれど…。 まぁ、それはさておき、僕の中で佐藤愛子さんは、ずっと何かに怒り憤慨し、それをばねにし、本のネタにすることで本を書いてきた作家として認識されている。 直木賞をとった頃は、当時だんなさんだった人の借金を、啖呵をきって、代わりに背負い、それを跳ね返すために憤怒していた。 (そもそも、直木賞をとった「戦いすんで日が暮れて」がその内容の本だった気がする。) 読んでいてその憤慨は、至極正当に見えたし、なんだかんだで結構格好よかった。 一時期、その怒り方が結構好きで集中的にかなりの作品を読んだ。 しかし、今回久しぶりに佐藤愛子さんの本を手にとって見たところ、ちょっと印象が変わっていた。 なんだか、その憤怒の矛先はだいぶ身近で平凡な話題になったようである。 時がたって、怒りの矛先はだいぶ小粒なものになってしまった。(ように思える) もちろん、よくよく考えればそのほうが良いのだけれど、佐藤さん自身も、何か怒りの矛先を向ける場所を探しているように思えるのだ。 そして、それは本人もエッセイの中で自覚しているように思われた。 僕の印象では、佐藤愛子さんは憤怒してこそ、佐藤愛子さんなのだ。
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