|
|
「スターダスト」(神津カンナ)、書評神津カンナさんは、神津善行、中村メイコ夫妻の長女であり、エッセイや小説などを書かれている作家である。 父親は作曲家、母親は女優、妹さんも女優と、家族そろって芸術家という芸術一家である。 本書は、眼鏡、自転車、万年筆、保険証などといった身の回りにあるちょっとした道具を、それぞれにテーマにした短編小説集。 他人には、何でもないものに見えても、ある個人にとってはものすごく大切だったり、思い入れの強いものだったりということは日常的にも良くあって、そういう愛された”もの”を通して人の心を追うという手法は、小説として、王道ともいえる設定ではないだろうか。 (このことは、作者である神津カンナさん本人もあとがきの中で述べられている。) 大抵の場合、思い入れの強いものは、すごく高価なものじゃなくて、むしろ、身近にあって日常的に使っているもの、たいしたことのないものであることが多い。 神津さんはその 「たいしたことはないけれど大切なもの。」 を「スターダスト」というタイトルに込められているのだ。 小説を書くとしたら一度は使ってみたい手法であるといえる。
|
Copyright(C) 2002 - Mitsuharu Matsumoto All rights reserved.