｢少年｣(ビートたけし)、書評
物心がつき、大人になる過程で必ず通り過ぎる少年の頃。
本作の中で描かれるのは、どれもその少年の心の動きである。
勉強のできる兄と運動神経のいい弟の運動会での思い出をつづった「ドテラのチャンピオン」
転校先でいじめられる兄と弟が学校の望遠鏡を盗み、亡くなった父の思い出を胸に星を探す「星の巣」
家出同然の中学生の性の目覚めを描いた「おかめさん」
これらの話はそのどれも北野武さん自身の体験を多分に含んだ小説である気がする。
小説は、結局、自分の体験したことの投影になると個人的に僕は思っているのだが、本作はそれが特に色濃く出ている小説であるのではないだろうか。
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少年
(文庫)
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内容（「BOOK」データベースより）
ノスタルジーなんかじゃない。「少年」はオレにとっての現在だ―。発熱を押して運動会の徒競走に出場したある上級生の顛末「ドテラのチャンピオン」。父親の死後、転校先の生徒の迫害や母の再婚に耐え、形見の望遠鏡で天空のシリウスを探す兄と弟「星の巣」。家出同然一人旅に出た中学生の性の目覚め「おかめさん」。天才たけしが自らの行動原理を浮き彫りにする「元気の出る」小説三編。
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