「手紙」(東野圭吾)、書評
東野圭吾は違うタイプの物語をたくさん書ける作家だ。
本作は、加害者の家族のその後の生活。を真正面から描いた作品。
誰かが罪を犯したとき、その罪を犯した人自身がその責任を取るのはある意味でとても当然だ。
だが、実際のところ、社会的に罰せられるのは、加害者その人だけでなく、加害者の家族も含まれる。
誰かがたとえば、殺人を犯したとき、被害者の家族の悲しみは計り知れないものだろう。
その悲劇に人々は同情を寄せ、どうにかして被害者の家族を助けようとする。
誰かがたとえば、殺人を犯したとき、加害者の家族の悲しみもまた計り知れないものだろう。
そして、加害者の家族は、しかし、その加害者の罪を、信じられないほど長い間背負わされ続ける。
加害者の家族には実際のところ、罪はない。
だから、その差別は道徳的には正しくはない。
けれど、現実問題として、その家族は何らかのフィルタを通して見られてしまう。
加害者の家族として、その立場になったとき、
加害者の家族の周りにいる人間としてその立場に立ったとき、
あるいは、被害者の家族としてその立場に立ったとき、
どの立場で考えるかで、たぶんその意見は変わってしまうのだろう。
こうするのが正しい。と簡単にはいうことができない難しい問題だと思う。
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手紙
(文庫)
手紙
(単行本)
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内容(「BOOK」データベースより)
強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
東野 圭吾
1958年、大阪生まれ。大阪府立大学電気工学科卒。エンジニアとして勤務しながら、1985年、「放課後」で第31回江戸川乱歩賞受賞。1999年、「秘密」で第52回日本推理作家協会賞受賞。2003年、本書「手紙」が第129回直木賞候補となる。2006年、6度目の候補作である「容疑者Xの献身」で第134回直木賞受賞。同書は第6回本格ミステリ大賞、2005年度の「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」各第1位にも輝いた。幅広い作風で活躍し、圧倒的な人気を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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