「天国にいちばん近い島」(森村桂)、書評
「いまでも天国にいちばん近い島」を読んだとき、僕は作者である森村桂さんの文体についてこう書いた。
出来事の因果関係を追うのではなく、起こった出来事のうち、印象の残る断片を切り出すタイプの作家のように感じる。
しかし、前回読んだ「いまでも天国にいちばん近い島」は、どうやら本書の中から印象に残るものを引用したものであるらしい。
上記のように感じたのも、そこから来る誤解であったようだ。
すごく繊細な文章を書かれるという印象は変わらないが、きちんとつながりのある物語になっている。
小さい頃から夢描いていた島へ行き、理想との多少のずれを感じながらも、大枠で夢のような生活を送った日々に関する紀行文。
すごく純粋できれいな心で書かれた物語である。
2004年9月30日追記。作者である森村桂(もりむらかつら)さん(三宅桂=みやけかつら)が、2004年9月27日亡くなられました。
長野県警の発表によると自殺されたようです。ご冥福をお祈りいたします。
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天国にいちばん近い島
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出版社/著者からの内容紹介
一年中花が咲き、マンゴやパパイヤがたわわに実る夢のような島。亡き父が幼い頃に話してくれた“天国にいちばん近い島”。思いがけず南洋の島ニューカレドニアへ旅立った【私】は…。(桂ゆき子)
内容(「BOOK」データベースより)
一年中花が咲き、マンゴやパパイヤがたわわに実る夢のような島―それこそ亡き父が幼い頃に話してくれた"天国にいちばん近い島"にちがいない…。まだ、外国へ行くのが難しかった時代、思いがけない人の善意から、南太平洋の島ニューカレドニアへ旅立った「私」はさまざまな体験をする。さわやかな「私」の行動が、爆発的人気を呼んだ"夢の配達人"桂のロングセラー旅行記。
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