「天国の本屋」(松久淳+田中渉)、書評
昨日、何気なく爆笑問題の番組を見ていたら、あるコンビの作家さんが出ていた。
それが、本書の著者である松久淳さんと田中渉さんのコンビである。
その番組を見た後、アマゾンで、いくつかの本を検索してみたら、どの本もかなり穏やかで優しそうな物語だったので、せっかくだから読んでみようと手にとってみた一冊である。
ストーリーはとても単純で、骨子だけつづれば次のようになる。
人生の目的を見出せない「さとし」と言う主人公がある日天国の本屋にアルバイトとして雇われる。
そして、そこで働く中で自分にとって大切なものを見つけていく。
同僚として働くユイは、心に傷を負った女の子。
さとしは、ユイと憎まれ口をたたきあいながらも、次第にユイに惹かれていく。
物語の過程で明かされるユイの傷の理由と、さとしが天国の本屋に取れてこられた訳。
さとしとユイは天国を去るときその記憶をなくす。
しかし、彼らは記憶を忘れているにもかかわらず、現世でその恋をかなえる。
ストーリーの中で、上記のほかにもいくつかの伏線が張られていて、それが最後に一つにつながる。という手法は、こういう物語によくある一つの常套手段で、クライマックスを迎え、予想通りに終わると、ほっと安心する。
一直線にハッピーエンドへと向かう話は昔からすごく好きで、僕もこんな本を書きたいなあと常々思っている。
なお、本書では、いくつかの童話が小道具として利用されているのだが、その中の一つである「泣いた赤おに」は、確か灰谷健次郎さんの「天の瞳」でも引用されていた気がする。(確か、そのときは、子供だった主人公が、「もし、本当の友達なら、青おには赤おにのところを去るべきではない」と強く言うのだ。)
「泣いた赤おに」は、とても切ない絵本で、僕も大好きなので、もし、読んだことがなければぜひ読まれると良いと思う。
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天国の本屋
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現世の流れに押しつぶされそうになったとき、「天国での記憶」をたどってみたくなる。「天国」とは、誰もが心の奥に抱いているだろう優しくて懐かしい世界。幼い日の宝物、子どものころの夢、初めて恋をした日のこと…。日々の生活に追われて見失いがちな気持ちを、本書は思い出させてくれる。
さとしは「天国の本屋」店長代理にスカウトされ、一時的に天国に連れて来られたごく普通の大学生。天国でさとしは、心に傷を負いリハビリ中のユイと出会い恋をする。2人は他人同士として現世に戻ることになるのだが、さとしは「きっと、君を見つけてみせる」と、再会を約束する。10代から中高年層の読者まで、愛しい人との出会いの必然性を確かめたくなる、そんな淡い恋心がよみがえるラブストーリーだ。また、本書ではさとしが朗読する形でいくつかの童話が登場する。「この本、こんな話だったっけ?」と、懐かしい絵本をまた読み返したくなるのも愉快。
著者は“妊夫”体験エッセイ『男の出産』などの著書を持つ松久淳で、田中渉はプロデュースの形でかかわっている。舞台化もされたが(演出・中村龍史、脚本・松田直行)、日だまりのような天国の本屋でのシーンを再現するには、小さな舞台がよく似合いそうだ。
柔らかいタッチの挿絵に、ハンドサイズの表装は手触りが心地よく、大好きな人への贈り物にもおすすめしたい。(分須朗子)
内容(「BOOK」データベースより)
天国をご存じですか?そこには、本屋さんも喫茶店も、小さな公園もあります。もちろん、恋だって。この世からアルバイトに雇われたさとしは、縁色の目をしたユイを好きになります。でも、ユイには人に言えない秘密が…。はたして、ふたりの恋のゆくえは?悲しいことも、死にたいほど辛いことだって楽しくなるラブ・ストーリー。
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