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「哲学」(島田紳助 松本人志)、書評島田紳助氏と松本人志氏は2002年11月現在、日本テレビ系の松本紳助という番組に共に出演されている。 番組自体、僕も何度か見たことがあって、なかなか面白いのだが、番組を見ながら、どうして番組上、この二人の組み合わせになったのか、少し疑問だった部分があった。 だが、本書を読んでみると二人の関係は以前から、かなり深いものであるようだ。 なんでも、島田紳助氏はデビュー時には紳助竜助という漫才コンビを組んでおり、漫才ブームの真っ只中爆発的な人気を誇ったらしい。 職業として、漫才師を選び、そこで成功の道を探ったという本書の中の記述もとても面白いのだが、彼はその全盛期にダウンタウンを見て、自分の時代が終わったことを知ったそうなのだ。 逆に松本人志氏は、紳助竜助を見て、自分も「笑い」の世界で生きていけるのではないかと思ったらしい。 二人の間にはその頃からお互いに認め合う何かがあったようなのだ。 その後も、島田紳助氏は自分が司会をするラジオの中にダウンタウンを招待したり、その司会をダウンタウンに譲ったりしている。 まだ、世の中にきちんと評価されていない時期から人は出会うべき人に出会っているのかもしれない。 芸人というのは番組上、ぶっきらぼうに振舞ったり、傍若無人なふるまいをすることもある。 例えば、松本氏は本書だけでなく他書の中でも自分を天才だと言い切っている。 行き過ぎれば、傲慢とも取れる態度と紙一重のところに自分の身を置きながら、芸人はその自信を胸に人の前に立つ。 人の前に立つということは、実際、大きなプレッシャーがある。 特に、人の前に立つたびに、そこに「笑い」を生むことを強要されている「芸人」という職業人には、ある種傲慢といえるほどの自信がなければ、毎日、人の前に立つことなど出来ないのかもしれない。
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