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「TUGUMI-つぐみ」(吉本ばなな)、書評僕自身、今のところ、吉本ばなな氏の本をあんまり読んだことがなくて、詳しいことはあまりいえない。 けれど、TUGUMIは吉本ばなな氏の作品の中でもかなり有名な本の一つだと思う。 以前からTUGUMIというタイトルは聞いたことがあって、最初に知っているものをと思って読んでみた本なのだ。 1989年に初版が出て以来、1999年の時点で48版を数えるベストセラー。 売れているだけあって、とてもおもしろく読めた小説である。 とはいえ、何がどうおもしろいのかといわれるととても難しい。 端的にいえば、芯がやさしく、しかし、それを守るために心を殻にくるんだTUGUMIという名の少女を主人公とするひと夏の出来事をつづった小説に過ぎないからだ。 しかし、そこで描写されている心理は、とても複雑なものであるように感じた。 いわゆる切なさというか、不器用さというか、寂しさというか、そういう様々にある言葉にしにくい感情が読みながら心にあふれる気がする。 かなり肌が合う作家な気がするので、ぜひ、この後もいくつか作品を読ませていただきたい。 なお、吉本ばなな氏は本作品で第2回山本周五郎賞を受賞されている。 ちなみに、第1回山本周五郎賞は山田太一『異人たちとの夏』。他に宮部みゆき『火車』や重松清『エイジ』などが山本周五郎賞を受賞している。 これらもいずれ読んでみようと思う。
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