|
|
「超勉強法」(野口悠紀雄)、書評超勉強法は、超整理法と並び、野口悠紀雄氏の著書としてベストセラーになった書籍の一つである。 本書、超勉強法は、いわゆる勉強に関するノウハウ本である。現在のような形の"勉強本"が流行る一つのきっかけを作った本だといえるだろう。 勉強全体に対するアプローチとして 基本的に勉強は全てを覚えるのではなく、8割方の理解で満足すること。 勉強は部分ではなく、まずは全体を理解すること。 なによりも好きな勉強をすること。 などが挙げられており、各教科に対しては 英語は、文法を覚えるのではなく丸暗記すること。 数学は、基礎から丁寧にやるのではなく、まずは全体を俯瞰すること。 国語は、取り扱われる文章が長さによって四段階に分かれることを理解し、濫読によって読む技術を身に付け、分かりやすく書くようにすること。 などの提案がなされている。 文頭にもあるが、本書の内容は基本的に野口氏自身の経験に照らしたものであり、氏自身が経験的に良かったと思える勉強法を、一種の体験談として記述していると考えてよい。 そのため、内容自体は、超整理法ほど役に立つ印象を受けるものでは無い。 例えば、勉強があまり好きでない人には、本書のいう好きな勉強は無いかもしれないだろうし、8割方の理解で満足するというのは一般的によく言われる勉強法だからだ。この論法は有名な「パレートの法則」 ※を一部改変したものであるかもしれない。 しかし、本書が世間に与えた社会的なインパクトは相当大きいものだったといえる。 ちなみに、2002年現在、超勉強法という冠を持つ書籍だけでAmazonで46冊も検索される。(野口悠紀雄氏以外の著者もたくさん書いている。) その意味で、現在という時代に一つの流れを作った書籍であるといえるだろう。
※「パレートの法則」:「80対20の法則」ともいう。イタリアの経済学者パレートが考案したものであり、「上位2割の要素が全体の8割を占める」というものである。本書の例のように、8割のものを身に付けるのはたやすいが、残りの2割を身に付けるのには非常な苦労を伴うというような論法も多くの文章でよく見かける。
|
Copyright(C) 2002 - Mitsuharu Matsumoto All rights reserved.