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「若き数学者のアメリカ」(藤原正彦)、書評藤原雅彦さんは、東京大学大学院を卒業後、ミシガン大学研究員、コロラド大学助教授などを歴任されたれっきとした数学者である。 しかも、ただの数学者ではなく、現在は、お茶の水女子大学で数学科の教授として教鞭をとられている。かなり輝かしい経歴を持たれた数学者だ。 その一方で、氏はエッセイストとしても知られており、本書で、日本エッセイストクラブ賞を受賞された。 本書は、数学者である氏が、ミシガン大学研究員、コロラド大学助教授などを歴任された頃の、若き日のアメリカでの体験をベースにして書いたエッセイである。 経歴だけ見るとあまりにも輝かしい経歴で、「とっつきにくい硬い本なのかな?」とちょっと身構えてしまいそうだけれど、内容的にはむしろ軽いタッチで書かれていて素直にとてもおもしろい。 どうも僕と本の趣味が合うらしい濫読家の知人が、文学と言葉の掲示板に書き込んでくれたのを受けて読んでみたのだが、今回もなかなかおもしろく、その思いはさらに強くなった。 Ph.Dを取った後、就職に困ったりする数学者の現実だとか、研究を重視するグループと教育を重視するグループの対立だとかいった数学者ならではの視点もあって、へぇ、そうなんだ。と、思ったりもしながら、数時間ほどで一気に読み終えてしまった。 もう一つ借りている「心は孤独な数学者」も結構面白そうなので、早く読んでみたいのだが、いぜんとして紛失中。 どこにやってしまったのだろうか。 (追記) 9月23日、発見+読了。
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