「四十回のまばたき」(重松清)、書評
本書は、直木賞作家、重松清さんの小説家としての3作目の作品。
本書を書き始めた当時、重松さんは29歳。本書を上梓した当時、作者である重松さんは30歳。
ちょうど、20代から30代になるときに、本書を書いていたことになる。
本書の主人公は、その頃の著者と、ちょうど同年代の翻訳家だ。
伝えたいことが何もない翻訳家の口調で語られる自身の人生とそのそばで起こる出来事。
事故で突然死んでしまう妻。その妻が不貞していた事実。毎年、冬眠する義妹。
主人公は、通常にないドラマチックな出来事に感情をおぼれさせることなく、まるで傍観者のようにそれらの事件をつづる。
「見張り塔からずっと」見続けている。という重松清さん自身の姿が、この頃から物語の中に現れている気がする。
なお、「四十回のまばたき」とは、米語の口語で、うたたね。という意味なのだそうである。
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四十回のまばたき
(文庫)
四十回のまばたき
(単行本)
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出版社/著者からの内容紹介
結婚7年目の圭司は、事故で妻を亡くし、寒くなると「冬眠」する義妹耀子と二人で冬を越すことになる。耀子は妊娠していて、圭司を父親に指名する。妻の不貞も知り、圭司は混乱してゆく。
内容(「BOOK」データベースより)
結婚七年目の売れない翻訳家圭司は、事故で妻を亡くし、寒くなると「冬眠」する奇病を持つ義妹耀子と冬を越すことになる。多数の男と関係してきた彼女は妊娠していて、圭司を父親に指名する。妻の不貞も知り彼は混乱するが粗野なアメリカ人作家と出会い、その乱暴だが温かい言動に解き放たれてゆく。欠落感を抱えて生きる全ての人へ贈る感動長編。
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