以下の証明で使う性質
(1)任意の数を考え、それを2倍する。こうして得られた新しい数は必ず偶数である。
(2)ある数の2乗が偶数であるならば、もとの数は必ず偶数である。
(3)分数は簡単化することができる。例えば、36/48=18/24のように。18/24を得るには36/48の分子と分母を共通因数2で割ればよい。さらに18/24は9/12と同じであり、9/12は3/4と同じである。
しかし、3/4はこれ以上簡単化することはできない。なぜなら、3と4は共通因数を持たないから。
このように、分数をどこまでも簡単化することはできない。
これをもとにして証明を行う。
今、√2が有理数であると仮定する。
だとすると、
√2=p/q …(1)
と書ける。
両辺を2乗して
2=p^2/q^2…(2)
この式を変形すると
2q^2=p^2…(3)
を得る。
(3)より、p^2は偶数であることが分かる。したがって性質(2)からpは偶数でなければならない。
もし、pが偶数なら、(1)より、あるmが存在して、
p=2m…(4)
と書ける。
これを(3)に代入すると
2q^2=(2m)^2=4m^2…(5)
両辺を2で割ると
q^2=2m^2…(6)
を得る。ここで、今までと同じ議論を繰り返すとq^2が偶数でなければならないことになる。その場合qはnを別の整数として
q=2n…(7)
と書けることになる。
これを式(1)に代入すると
√2=p/q=2m/2n=m/n…(8)
となる。こうして得られたm/nはp/qよりも簡単であるはずである。
ところで、以上のプロセスはm/nについて全く同様に繰り返せる。その結果、もっと簡単な分数、例えば、e/fというさらに簡単な分数が得られる。この分数に対し、さらに同じプロセスを繰り返すということを何度でも果てしなく続けられる。
しかし、(3)より、分数は果てしなく簡単化することはできない。これは矛盾である。
よって背理法より、√2は有理数ではないことが分かる。