まずは具体的な数字で考えてみよう。例えば,pとしてp=5を選ぶ。
(1) 1から4までのすべての数字を掛け合わせる。
1×2×3×4=24
(2) 選ばれた任意の数字qはmod pの世界では、1からp−1の中のいずれかの数字と等しいので任意の数字としては1から4のうちのいずれかを選べば十分である。例えば,3を選んでみよう。
1×3=3(mod 5),2×3=1(mod 5),3×3=4(mod
5),4×3=2(mod 5)
この結果を見るとmod 5の世界で見たとき、1から4までの数字に3を掛けるということは1から4までの数字を入れ替えるということに同じであることが分かる。(なぜこうなるのかについては後述する。)
(3 )したがって、(1×3)×(2×3)×(3×3)×(4×3)=4!×34
もmod 5の世界では24に等しいはずである。(4!=4×3×2×1のこと(4の階乗と読む)) 従って, 4!×34=4!
となり、 34=1 が分かる。
では次に任意の素数pについてこれを証明しよう。 上と同様の手順で証明する。
(1) 1からp−1までのすべての数字を掛け合わせる。
1×2×3×4×…×p−1=(p−1)!
(2) 1,2,…,(p-1) のおのおのに a をかけた数、
a, 2a, … , (p-1)a を考えよう。
a と p が互いに素であることから、 a mod p, 2a
mod p, … (p-1)a mod p はすべて異なる数になることを示す。
今、k≠lの下で,ka mod p = la mod p と仮定する。
すると,(k-l) a mod p = 0 となるが,p が素数なので、k=lとなる。これは最初の仮定に矛盾する。
従って,a mod p, 2a mod p, … (p-1)a
mod p はすべて異なる数になる。…(*)
(これはすなわち, mod pの世界で見たとき、1からp−1までの数字に任意の数字aを掛けるということは1からp−1までの数字を入れ替えるということに同じであるということである。)
(3) 従って,これらをすべて乗じると、a X 2a X …
X (p-1)a = 1・2・…・(p-1) X a(p-1) となるので、これを p で割った あまりを考える。
すると、(*)から、a X 2a X … X (p-1)a
mod p = 1・2・…・(p-1) mod p となることが分かるから、 a X 2a X … X (p-1)a mod
p = 1・2・…・(p-1) X a(p-1) mod p と連立すると、 a(p-1) mod p = 1 を得る。(証明終)